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教育について  「活・喝・勝」


部下が求める理想の上司は本当に理想か

じっと我慢して、あまり口を出さない。ぐっと堪えて、あまり手を出さない。何でも自分でやろうとしない。全部自分で背負うとしない。

これは、部下を育てる時の上司の上等文句である。

口ばかり出す、直ぐに手を出し、何でもやってしまう。そして、部下に任せようとしない。このような上司では、部下は育たないということの裏返しの文句である。

この考え方に異論はない。私自身、この何年もの間、じっと我慢して、あまり口を出さない。ぐっと堪えて、あまり手を出さない。何でも自分でやろうとしない。全部自分で背負うとしないと自分に言い聞かせてきた。

それでも、部下の側からすれば、口ばかり出す、直ぐに手を出し、何でもやってしまう。そして、部下に任せようとしないと写っていることであろう。

これまでの私は、そのように写り、思われることに恥ずかしさを感じていた。なぜなら、部下を育てる時の上司の上等文句に反することであり、すなわち部下から見て、上司失格だからである。

そして、もっと口を出さないように、手を出さないようにしようと試みる。

だが、わが社内だけでなく、様々な上司たる人の姿を見て、ここ数年、この考え方は大いなる勘違い、誤りであると気がついた。

それは、部下から見た理想の上司像が、組織における理想の上司像と隔たりがあるということである。

私自身、この違いを理解していなかった。

理解せずに誤解した理由は、一部、一致する点があるからである。

それが、冒頭のじっと我慢して、あまり口を出さない。ぐっと堪えて、あまり手を出さない。何でも自分でやろうとしない。全部自分で背負うとしない。という部下を育てる考え方である。

これは、部下から見る理想の上司、組織における理想の上司に合致する。

だが、そこに落とし穴があった。

それは、私が陥ったように、部下側の目線を意識しすぎ、部下から見て上司失格に思われたくないとの意識が働くことである。実は、上司がこのように思う時点で、上司失格なのである。

何度も繰り返すが、あまり口を出さない。ぐっと堪えて、あまり手を出さない。何でも自分でやろうとしない。全部自分で背負うとしないという考え方は、決して間違っていない。だが、良く考えて見れば、あまり口を出さない。ぐっと堪えて、あまり手を出さない。何でも自分でやろうとしない。全部自分で背負うとしないリーダーというのは、どんなリーダーだろうか。

仮に、野球の監督や、サッカーの監督に例えて見よう。

監督が、口を出さない、手を出さない、何でも自分でやろうとしない、全部自分で背負わないような人だったら、そのチームの監督とは何をする人であろうか。

簡単に言えば、部下の育成と、組織を率いることの二つを、同じ言葉で混同してしまっているのである。

監督が、口を出さず、手を出さずして、どのように指揮をするのか。何のサインも出さず、ぐっと堪えて選手任せにして、勝てるのか。もし、勝てるのなら、その監督がいなくても部下だけで成り立つというものである。

部下の育成と、組織を率いることを混同している人が多い。

もっと言えば、私のように、二つの違いを理解しているのにも関わらず、部下から上司失格と思われないようにと考えるため、意図的に上司の立場を放棄することで、組織を率いることよりも、部下の育成を優先しようとする人も多い。

私自身に向かって言えば、そのような上司は上司失格である。最低の上司だ。

部下の育成は大切なことだし、疎かにすることはできない。しかし、その前に、組織が強く、勝てなければ話にならない。負け続ければ、部下は育つ前にいなくなり、会社で言えば倒産する。

野球やサッカーで言えば、勝てるチームが作れなければ監督の存在意義がない。その勝てるチームにするために、どう選手を育成するかという手段であり、もっと判り易く言えば、二の次である。どんなに育成に熱心でも、勝てなければ意味がない。勝ち続けることで、部下が育成されるとも言える。

企業も同じだ。部下の顔色をうかがう必要はない。部下から好かれようが嫌われようが、どのような強い組織を作るかである。部下か見た理想の上司像は、働きやすい、心地よい姿であり、決して、自らに厳しさを課すようなことは求めるはずがない。

それに対し、組織における理想の上司とは、厳しさでも優しさでもない。動く組織、勝てる組織を構築できる人である。部下が働きやすく、心地よくすれば、組織が動くと考えるのならそれも決して誤りではない。ようは、働きやすくすることや、心地よくすることが目的ではなく、動く組織を作り、勝てる組織を構築することが重要なのである。

私は、じっと我慢して、あまり口を出さない。ぐっと堪えて、あまり手を出さない。何でも自分でやろうとしない。全部自分で背負うとしないという考え方を間違っているとは思わない。

だが、それは、部下の育成手段であって、それがすなわち、動く組織、強く勝てる組織になる最善で、最短の手法でないということに気がついた。

組織が動かず、負けそうな状態でも、じっと我慢して、あまり口を出さない。ぐっと堪えて、あまり手を出さない。何でも自分でやろうとしない。全部自分で背負うとしないというな考え方を続けても良いし、そうでなくても良い。どれが最良の策かを考え、動く組織、強く勝つ組織になるなら、どのような考え方も間違いではない。

間違いではないが、その結果が全て、間違いかどうかを教えてくれると言うことである。結果が間違いを示せば、どんなに間違いでない考え方でも、経営においては間違いだということである。

口を出そうが、手を出そうが、任せようが、任せまいが、結果がそのリーダーの考え方が正しいかどうか示してくれる。

結果が良ければ、信念を持って、続ければ良い。結果が悪ければ、信念を曲げても、もっと良い結果を生む考え方を持つ必要があるということである。

部下が何を言おうが、好かれようが嫌われようが、結果が全てを表す。リーダーは、その結果を真摯に受け止めるのみだ。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年6月14日 05:59