糸の半分を一方が、もう半分を他方が離れないように互いに強く持ちあうこと。糸の半分と書いて、絆(きずな)と読む。これは何の根拠もない私の論。どこの辞書にもない。
絆の本当の語源は、馬や犬などのを家畜を繋ぎ止めておくための綱が始まり。やがて、離れないように繋ぎ止めるということから、友人や家族など離れがたい強い結び付きのことを言うようになった。
語源の繋ぎ止めるというのは、家畜が逃げないように縛っておくというような響きから、一方的で強制的に感じる。それは、絆ではなく、綱だ。
私の考える、半分を一方が、もう半分を他方が離れないように互いに強く持ちあうことのほうが、絆の解釈にピッタリではないだろうか。
無論、過去はどうであれ、今では、友人や家族など離れがたい強い結び付きのことを言うのだから、話しの解釈と同じだが。
家族の絆についての作文コンクールというのがあった。
娘は、父や母が自分を信じてくれないとの思いから、反発し、反抗し、そして不良になって行った。娘は、親から糸の半分を離されてしまった感じがあったのだろう。
そして、親のほうも、愛情を注いだ娘が、一方的に糸の半分を切ろうとする姿に失望したのであろう。そして、娘が不良になって行っても放置した。
やがて、娘は補導される。
父親が、涙を流しながら娘を抱きしめて、娘がそのようになったことを悔いた。娘も、父親の愛情を感じ取れずにいたことを悔い、涙を流した。共に悔いることで、再び、糸の両方を握りしめたのだ。
血の繋がっている親子でさえも、絆が崩れそうになる。毎日同じ屋根の下にいるのに、いつの日は、心が離れ、言葉がなくなり、気持ちが見えなくなる。
それなのに、血の繋がりがない他人との間で、絆を強めることは容易ではない。
絆は、心の奥底を隠さずに打ち明け、思うことをすっかり述べることで築かれ、強まる。
家畜のように一方的ではなく、その行為がお互いに半分づつできるのが絆である。糸を持っている片方が、心の奥底を隠し、打ち明けずに、思うことも言わなくなれば、もう一方は糸が離されると感じる。
心の奥底を隠さずに打ち明け、思うことをすっかり述べることを、腹心を布くと言う。つまり、腹心を布ける間柄が、絆のある間柄と言える。
上司と部下の関係で、腹心を布ける間柄になることは可能であろうか。絆のある間柄になることは可能であろうか。
私は、可能だと信じている。
私には、腹心の部下がいる。腹心の部下とは、上司の意のままに奴隷のように従う部下のことではない。信頼できる部下で、かつ、その部下からも信頼されている関係である。
一般的に、腹心の部下とは、信頼できる側近のことを言う。だが、それは一方的であり、双方向ではないから、私は真の腹心の部下ではないと考えている。
腹心の部下なら、お互いに、心の奥底を隠さずに打ち明け、思うことをすっかり述べることができる腹心を布ける関係でなくてはならない。
通常、部下と上司の関係は、一方通行のことが多い。上司が一方的に腹心の部下だと思い込み、あっさりと裏切られる。あるいは、その逆に、部下が上司を信頼してついてきたのに、スッパと切られてしまう。何れにしても、一方通行なことを知らずに、思い込んだことに誤りがある。
百歩譲って言えば、先ほどの親子のように、仮に、一瞬一方通行になったとしても、本当に絆が残っていれば、修復ができる。泣いて、共に反省し、悔いれば、絆を取り戻せる。そこまでする相手でなくなるということは、元々大した絆ではないということ、だから、それが切れるのは必然であって驚くことではない。
私には、幸せなことに、私を信頼してくれる何人かの部下がいる。そして、さらに幸せなことに、私はその何人かに、心の奥底を隠さずに打ち明け、思うことをすっかり述べることができるのだ。
これは、もはや上司と部下という関係ではなく、友の関係だ。つまり、共に腹心を布ける関係は、友なのだ。
そして、腹心の布けることが絆なのである。
糸の半分を一方が、もう半分を他方が離れないように互いに強く持ちあうこと、それが一方的であれば、離れるのは何ら不思議なことではない。
糸の半分を一方が、もう半分を他方が離れないように互いに強く持ちあうこと、これを維持するには、一方ではなく、両方が努力しなければ継続できない。
糸の半分を一方が、もう半分を他方が離れないように互いに強く持ちあうこと、そのためには、心の奥底を隠さずに打ち明け、思うことをすっかり述べることである。一方ではなく、お互いに相談できるということだ。
これが絆である。
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投稿者 :堀田信弘: 2009年6月28日 05:04