【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


技術者と営業  「活・喝・勝」


リスクとリターンと確率と可能性と

仕事を取る人と、取った仕事を行う人が必要だ。仕事を取る人は、営業である。取った仕事をする人は、事務だったり、技術者だったりと製造分野の人である。

この関係を、製販という。製販分離か、製販一体か、ここではどちらが良いかなどと答えを出す場所ではない。

ましてや、どちらが良いかの正解などあるはずもない。

どちらが自分の会社に向いているのか、どちらが時代の流れに対応できるのか、どちらが理想で、どちらが現実かなど、それぞれが正しいと思ったほうを選択し、経営すれば良い。

IT業界に限った話にしよう。

仕事を取る人は、仕事を取らなければ仕事にならない。仕事をやる人は、取ってきた仕事を無事に行わなければ仕事にならない。

だから、仕事を取る側は、リターンを考える。だから、仕事をやる側は、リスクを考える。

当然である。

営業は、私に、「始めは赤字でもぜひやりましょう」と言ってくる。

技術者は、私に、「赤字で上手くやっても、次が来る保障はありません」と言ってくる。

どちらも正しい。

営業は、私に、「上手く行きそうです」と言ってくる。上手く行きそうという時は、上手く行かないことの裏返しだ。大体、営業は良い話ししかしない。だから、本来なら、「上手く行きました」と言いたいはずなんだ。それが言えないのは、物事を良いように捉えようとしている表れであでる。

技術者は、私に、「全く上手く行きません」と言ってくる。上手く行かないという時は、上手く行かない時のことを考えてくれということだ。大体、技術者は、悪い話ししかしない。だから、本来なら、上手く行くかもと思っていても、最悪のケースを言ってくる。

言わば、この関係、水と油というくらいに、反対である。

私に突きつける。

「リスクとリターンのどちらを取るか」と。

私は十年間、技術者を行った。その後、十年間、営業を行った。だからこそ、どちらの考え方も良く判る。

営業と技術者は、二人三脚であり、両輪である。

この両輪が、お互いを判り合えなければ、製販分離も製販一体も関係ない。お互いの立場が判り合えるのは、製販分離なのか、製販一体なのか、判り合えるか否かのその一点で考えれば良いとも言いきれる。

営業にとって、何でも受け取ってくれる技術者がいれば、最高である。技術者にとって、自分たちの持つ技術力を活かし、磨く仕事であれば最高である。

この二つの最高、これが最高でなければ、そもそも相性もクソもない。

下らん仕事しか取らない営業。儲からない仕事ばかり取る営業。大体にして、仕事が取れない営業じゃ話にならない。

一方、新しいことを受け入れない技術者。出来ることしかしない、やりたいことしかしない、技術力がない技術者じゃ話しにならない。

リターンを取れない営業、リスクばかり言う技術者、これで上手く行くはずもない。

リターンを取るのが営業だ。リスクを取るのが技術者だ。そして、両立させるのが、経営者だ。

自分が、営業出身だ、技術者出身だ何て、関係ない。両方の立場を理解できなければ、経営が上手く行くはずはない。どちらかに寄るから、リターンばかり追う経営者となり、リスクばかり考える経営者となるのだ。それで上手く行くはずもない。

経営者は、最大のリスクを考えて、最大のリターンを取ることである。

重箱の隅を突っつくような小さなリスクばかり唱え、雀の涙ほどのリターンを追いかけるのなら、社員に十分な給与など払えるはずもないだろう。

自分が部下だったらどうなんだ。

リスクばかりを言う上司の下にいて、何が楽しいか。私なら滅入っていまう。

リターンばかりを考えて、いつも失敗ばかりする上司の尻拭いをさせられてたまるものか。

ならば、なぜ自分が上司になったら、経営者になったら、最大のリスクを考えて、最大のリターンを取れないのか。

結局、最大のリスクを考えて、リターンを取らないのが多いのである。結局、リスクを考えていると言いながら、リターンを夢見て大失敗する。

まぁ、私には、最大のリスクを考えて、最大のリターンを取るための方策なら、結果として、どうなろうと良いじゃないかと思う。それができるのなら御の字だ。

どちらかしか考えないことに問題がある、最低でもそのことだけを認識さえできれば、それで良い。

のだが、100人の経営者を集めて、そのような人は、まずいないと思ったほうがいい。

なぜなら、経営者は、リターンより、リスクを取る側になるからである。それはそれで間違いではないが、わずか千人程度の零細中小企業の社長が、その程度で、経営者と言えるのか。

そもそもリターンよりリスクを取るのなら、普通の部長なら、誰でもできる。誰だって、責任者として、無理してリターンを取ることをなど避けるだろうが。

私は、嫌だ。

確率より可能性を選ぶ。

確率よりも、可能性は遥かに低いのが現実だ。だからこそ、それを選択できるのは、経営者にしかできないのだ。

営業が、口だけ良いことを言っても、責任はない。だが、経営者には、責任がある。その責任をリスクヘッジに走るか、リターンを取るか、あるいは、会社を傾けてしまうのか、大きな責任を負っている。

だが馬鹿でも、確率より可能性を選ぶことはできる。

私が言っているのは、危ない橋を渡れという馬鹿を言っているのではない。間違いなく上手く行くという確信に満ちた可能性にかけるということである。

間違いなく、きっと上手く行く可能性を論理的に導くことである。間違いなく、きっと上手く行く可能性に、全身全霊を注げることである。

口先だけではないことである。根拠がないいい加減な張ったりではないことである。

部下の情報を冷静に判断し、自分の考えを冷静に分析して、必ずやれると決断できることである。

それも、単なる確率で考えるはなく、やれるという可能性で考えるということである。

どうであれ、決断できることである。決して、他を断じることである。それが経営者の決断だ。何だかんだ言っても、リスクの確率より、リターンの確率を選べるかである。両方が、同じ確率なら、上手く行く可能性にかけることである。わずかな可能性にかけることである。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年7月10日 05:18