【堀田信弘の今日の語録】 2010年9月 3日 『 左手と右手は、矛盾だらけだが、決して片方が無くなっても良いと言うものではない。矛盾の両輪は、私の目指すところ。』


リーダーについて  「活・喝・勝」


火を灯すのも消すのもリーダーだ

『「うちの部下はやる気がない」とぼやく上司は、動機付け要因に対し、何ら手を打っていないのである。つまり、それは、無能な上司であることを意味する。そして、そのような部下があちこちの部署にいるのであれば、経営者は、その無能な上司から問題点を聞き出せていないもっと無能な経営者ということになる。


やる気を起こさせるには、心に火を付ける以外にない。それは論理的なやり方ではなく、人が人を好きになるように、一人ひとり違う訳であるから、長所に光りを当てて真剣に付き合わなければそう簡単なものではない。』

これは、3年前に書いた『ハーズバーグの動機付け』の一文だ。

ハーズバーグの動機付け要因論とは、衛生要因と動機付け要因の二つがある。衛生要因とは、簡単に言え不満の元となる要因である。そして、動機付け要因は、満足の元となる要因である。

簡単に言うと、衛生要因というマイナス要因はできるだけゼロに近づけ、動機付け要因というプラス要因はできるだけゼロより大きくするというものである。

また、言いかえれば、衛生要因だけではプラスにはならず、動機付け要因だけではマイナスを補えないとも言える。

「うちの部下はやる気がない」とぼやく上司ならまだマシだが、「うちの部下はどんどん辞めて行く」とぼやく上司もいる。

辞めて行くのではなく、辞められているんだ。

上司は、「会社のせいで私の部下が辞めてしまった」と言わんばかりだ。その上司は、会社のせいという形で衛生要因が辞める原因だと思っているようである。

しかし、それは違う。

衛生要因は、これが満たされないと不満に感じることがあるが、これが満たされたとしてもやる気がでるものではない。永遠に満たされることのない要因なのだ。

もしも、百歩譲って、衛生要因が理由で辞めて行ったのだと仮定すれば、それはそれで仕方ないことである。永遠に満たされない要因を理由に、ずっとその要因が満足できないからという理由で辞めるような人間などいないほうが良い。

ところで、もしそのような衛生要因を理由にして辞めて行ってしまうような人間を採用したのは誰か。もし、それが会社であり、その上司に一方的に押しつけたのだとしたら、まぁ会社に不満をぶつければ良いだろう。だが、もし、自分で面談も担当し採用したとしたら、単に見る目がなかったというだけではないか。

私は、衛生要因を口にするのであれば、いないほうが良いと思っている。もちろん、だからと言って衛生要因を放置するというようなことを言っているのではない。

衛生要因というマイナス要因はできるだけゼロに近づけると言ったが、永遠に満たされないこの要因は、実は絶対にゼロにはならないのである。ゼロにならないながらも、経営者が行うことはできるだけゼロに近づけるということなのであるのだが。

だが、もっとやらなければならないことは、衛生要因だけに目を向けるのではなく、動機付け要因のほうがもっともっと重要なのである。

特に、現場の上司が行えることであり、かつ行わなくてはならないことが動機付け要因のアップだ。衛生要因を持ちだして会社にせいにするのは、ある意味で現場の上司には衛生要因を変えられないから仕方ないのかも知れない。しかし、動機付け要因は、会社のせいにすることができないのだ。

動機付け要因の評価は、直属の上司に対する評価そのものなのだ。

つまり、「うちの部下はどんどん辞めて行く」と思ったら、まずは自分自身が動機付け要因を上げられなかったと自己反省すべきだのだ。それを衛生要因のせいにしているようでは、その上司そのものが、自分自身が衛生要因に大きく左右されている人間だという意味しているのである。

上司自身が衛生要因に不満を持っていて、部下の動機付け要因どころではないのであろう。

私は、『人間の要求』の中で、「マズローの言う通りに、人間の行動というのが、欲求を満足させるためのプロセスだとしたら、そのプロセスの歩み方が、その人間を形成する性格なのかも知れない。」と述べた。

欲求の源が衛生要因であるならば、その人間を形成する源も衛生要因が主ということになる。もしそうであるならば、そのような人間が、人の上に立つリーダーとなって、動機付け要因をアップさせるようなことなどできるはずがない。

上司、すなわちリーダーの役目は、部下のやる気を起こさせ、奮起させることだ。それができないようでは、リーダーの資格がないということを証明しているようなものである。

心に火を付けるのだ。それがリーダーの役目だ。その火が消えかかれば、当然、人はそのリーダーの元を離れようとすることであろう。

心に火を灯すのも、その火を消すのもリーダーなのである。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年10月10日 05:07