【堀田信弘の今日の語録】 2010年9月 3日 『 左手と右手は、矛盾だらけだが、決して片方が無くなっても良いと言うものではない。矛盾の両輪は、私の目指すところ。』


経営者について  「活・喝・勝」


正解のない問いに答えを出す

経営をしていると、個々には最適に選択したとしても、それが全体として最適な選択とはならないという状況が起こりえる。その例として挙げられる『囚人のジレンマ』は、ゲーム理論や経営において、勝つためのセオリーを研究した代表的なモデルである。

警察は、共同で犯罪を犯したと思われる2人の容疑者を逮捕する。容疑者同士で口裏を合わせないように別々の留置場に入れて、事情聴取を行い、事件の真相を聞き出そうとする。

もし、2人とも黙秘したら、2人とも懲役2年と言い渡す。だが、「共犯者が黙秘しても、お前が自白したらお前だけは1年に減刑してやろう。ただし、共犯者の方は懲役15年だ。逆に共犯者だけが自白し、お前が黙秘をしたら共犯者の刑を減刑し、お前の方は懲役15年になる。もし、2人共に自白したら、両方とも懲役10年にするぞ。」と双方に告げる。

さて、あなたならどれを選択するか。

もし相手が黙秘すると信じ、自分も黙秘をすれば2年で済む。しかし、最も最悪なケースは、自分だけ黙秘して相手が自白をすれば、懲役15年となる。

それが二人にとって最適な選択は、2人とも黙秘をして2年になることであるが、自分だけを考えると、自分だけが自白すれば1年で済みそれが一番最適な選択となる。

ところが、相手も自白すれば2人とも懲役10年になるかも知れない。自分にとって最適なものを選択するか、二人にとって最適なものを選ぶのかでジレンマを起こす。

さて、あなたならどれを選択するか。

この理論を定式化したアルバート・タッカーによると、両者は「裏切り」を選択するとされている。つまり、自分にとって最適だと思われる自白をするというものである。

私は、この理論が正しいかどうか判らないが、この問題の例は、正しい答えがないものに答えを出すようなものである。

さて、次の問題である。

パーティーで、全員に紙を渡す。その紙に千円か一万円か、どちらか一方を、自分がほしいほうを記入する。もし、一万円と書いた人が少なければ、全員に自分が書いた金額をプレゼントする。ただし、千円のほうが多ければ、全員に支払わない。さて、あなたはどちらを選択するか。

これも『囚人のジレンマ』の応用である。この答えの大半は、8割以上の確率で一万円と書くそうだ。自分だけが裏切っても、周囲の人はきっと違う答えを出すだろうという心理が働くのそうなのだ。

あなたはそれでも千円と書くだろうか。恐らく、あなたが千円と書いても、それは適わない。それがこのゲーム、集団心理の面白いところである。

このように、正しい答えがないものに答えを出すというのは難しい。自分本位か、集団心理か、最適な答えなどない。

それはまさに経営そのものである。答えがないものに答えを出すのが、経営なのだ。

私はかつて『ポジティブに生きる』の中で、『何が正しいという答えがない見えない経営の世界において、ポリシィーという白い杖さえあれば、何とかなると思ってきた。しかし、白い杖で探ることができない場合があることを知った。そもそも、経営なんて、トンネルから逃げ出すように抜けることだけを考えるのではなく、いつもトンネルの中にいるもの』だと書いた。

そう経営者は、いつも正解のない答えを追い求める。いつも抜け出すことができない暗いトンネルの中で。

私は『囚人のジレンマ』理論が正しいとかそうでないとかを議論するつもりはない。私が興味深いのは、『囚人のジレンマ』を活用した問題である。実に人間性が表れるであろう問題の作り方に興味がある。

そして、正しい答えがない問題であるにも関わらず、多くの人々がどちらか一方に傾いてしまうのも興味深い。かつ、人間は自分だけが助かろうとする裏切りの心境になることも面白い。

経営者として学ぶことは、個々には最適に選択したとしても、それが全体として最適な選択とはならないということが現実として、多く発生する可能性があるということだ。これは、何も『囚人のジレンマ』を知らずとしても、経営者なら感覚的に理解できるはずである。

経営者は、いつでも正解のない問題に答えを出す立場だ。出した答えが正しいと信じ、かつ正しくなるように行動によって答えを正当化する。結果が答えと異なれば、どんなに真剣に行動したとしても、答えが外れたという事実から逃れることはできない。それが経営者である。

経営者の仕事は、答えがない問いに対し、結果によって答えを出すことだ。結果が出せなければ、どんなに理論が正しかろうが、確率的な統計を示そうが関係ない。

しかもこのブログは、『確率よりも可能性で選ぶ』リーダーになるためのものだ。ならば、もっとも幸せになる、皆を幸せにできる可能性に掛けてみないか。

私は、リスクという確率よりも、リターンという可能性を追求したい。それで上手く行かなければ、私には、答えがない問いに対し、結果によって答えを出せなかったというだけだ。だからと言って、それで私の考えが間違っているとは言えない。

正しいことが証明できない情けない経営者だというだけである。私は、そうならないように行動するだけである。それしかない。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年12月19日 05:50