経営者は、国の政治に関心がなければならない。そのことは、ミャンマーやベトナムなどの海外に行くとなお更に感じることである。
経営者同士で集まったとき、政治の話がないできない経営者は、とても軽く薄っぺらに映る。
政治思想が一緒である必要もなく、むしろ異なっているときに、ディベートを通じて、その人の思想を顧みることができる。思想を知ることで、その人の考え方の根本、源、育ちが見られ、より理解を深めることができるものである。
私は、外国人との間でも、必ず政治的な話題を出す。それは、政治への関心度を知るだけでなく、経営者の姿勢が把握できるからだ。
経営者は、企業という経営を行っている。その企業で働く人々のことを考え、企業の発展と社員の幸せを考える仕事だ。
一方、政治とは、国という経営を行っているとも言えよう。その国の発展と国民の幸せを考える仕事だ。
そして、経営者も国民の一員である。国民の一員である企業のトップが、自らが属する国という組織の取り組みに関心がないとしたら、自分の社員が自社の経営に関心がないのと同じである。
また、国の取り組みを知ることで、企業経営においても役立つ情報を得られることがある。私が、経営者が国の政治に関心がなければならないというのは、本気で自社の企業のことを考えていないとも言えるからである。
例えば、絶対貧困と相対貧困という言葉がある。
絶対貧困とは、1日1ドル以下で生活している貧困層を指す。絶対貧困層は、1995年の10億人から12億人に増加しており、世界人口の約半分にあたる30億人が1日2ドル未満で暮らしているのだ。
それに対し、相対貧困というのは、世帯の等価可処分所得の中間値の半分に満たないものの割合を指す。
例えば、日本は、先進国であり絶対貧困の国ではない。日本の世帯の等価可処分所得の中間値の半分値は、年収200万円ほどだ。200万円は、ベトナムの等価可処分所得の中間値の半分値の30倍以上にもなる。
つまり、200万円あれば、ベトナムでは裕福な部類に入るのだが、日本国内では貧困な部類に入るということである。日本は、ベトナムなどに比べ、生活費が30倍以上も要し、家族が200万円で生活することは厳しい。
その相対貧困率、日本は15.7%である。つまり、全世帯の所得の中間値の半分に満たない200万円以下の世帯が15.7%もあるのだ。
これは、先進国の中では、アメリカに次いで2番目に高い。世界でもメキシコ、トルコ、アメリカに次いで4番目である。
これほどまでに相対貧困率が高い日本の実態を知っている人は、どれほどいるであろうか。
このようなことを通じて、世界で4番目に相対貧困率が高い日本の経営者は、何を考え、何を自社に活かそうとするか。
これは、単に政治家だけの問題ではない。所得の源は、企業からの給与である。企業が発展し、企業が成長しなければ、そこで働く社員の所得を上げることはできないのだ。
経営者は、国の政治に関心がなければならない。
それは、政治活動をするのとは異なる。政治家を支援するのとも、政治家を批判するのとも違う。国の政治の実態を知り、その政治の中で、その範囲内で活動するのが企業だ。
それが例え、ミャンマーのようにとても狭い範囲内であったとしても、ミャンマーの企業家たちは、それを政治家のせいにしている暇はない。その範囲内でできることを懸命に模索し、世界を相手にビジネス戦争を勝ち抜こうとしているのだ。
貧しいながらも、経済成長率は6%を超え、その成長は日本よりも高く、しかも失業率も日本より低い。
ミャンマーの企業家は、政治に対する関心が旺盛だ。もっと活躍できる範囲を広げてくれれば、もっと成長できると考えているからである。それだけでなく、政治への関心度が、知的好奇心の尺度になっているようにさえ感じるのだ。
さて、わが国の企業家はどうか。
政治家のせいにしている暇はないはず。政治家のせいにして、政治頼みをしても、決してその程度の経営者では、自社を発展させることはできないであろう。
どんなに悪政であっても、どんなに日本の市場が縮小しようとも、どうやったら生き延びられるかを考えるのが、企業家の仕事であるはず。
そもそも企業家は、企業内の政治家に他ならないからである。
これまで、わが社の成長率は、国の成長率と反比例した。国内が悪いからと言って、悪くなっているようでは情けないのである。
今日は、クリスマス。
社員は、幸せにクリスマスを過ごせているだろうか。
来年のクリスマスは、もっともっと幸せなクリスマスが過ごせるようにしなければならない。これは、経営者に課せられた使命である。
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投稿者 :堀田信弘: 2009年12月25日 05:52