満31歳で亡くなった坂本直陰。生前は全く知られていなかったが、死後になって有名になった。司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』の主人公とされているが、小説の竜馬ではなく、龍馬のほうが正しいが、これは本名ではなく通称だ。
今年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」により、人気となっている龍馬。私が、最初に龍馬のことを書いたのは、2005年11月の『龍馬のベンチャー精神』である。以後、『謙虚さの器の内』の中でも書いた。
海援隊の隊長であった龍馬は、 隊に、脱藩者など出身藩を分け隔て無く迎え入れ、自由な発想と雰囲気を求めていた。そのことは、会社の定款に相当する海援隊約規にある隊員の資格について、「土佐藩を脱する者、他藩を脱する者、海外に志しある者」と明記されている。
私が、坂本龍馬に最も興味を示す点は、この海援隊約規があるからだ。
私が2004年に会社を設立した時、中途採用者も、新卒者も、あるいは、日本人も外国人も、分け隔て無く迎え入れたいとの気持ちがあった。たった一人で独立し、社員を募集しようにも集まらない。たった一人では何もできないとの思いが強く、早く仲間を持ちたいと思ったものだ。
その考え方は、今でも変わっていない。そのため、事務所には、様々な国の人が集まるようになった。私の理想は、半分が日本人、半分が外国人。かつ、男性も女性も半々が良い。年配者も若年者も半々で、障害者も健常者もいたらもっと良い。
そして、何よりも集いたいのは、海外に志しある者である。
社員の半分は日本にいて、残りの半分は海外にいる。そんな会社を目指したい。
日本人は、海外にどんどん出かけ、外国人をどんどん日本に向かいいれる、これが私の理想である。
竜馬がゆくの中で、龍馬は、「衆人がみな善をするなら、おのれ一人だけは悪をしろ。逆も、またしかり。英雄とは、自分だけの道を歩くやつの事だ」と言っている。
私は、善、悪は別にしても、他の人がやっていないこと、逆のことをやろうとする意気込みはとても重要だと思っている。みんなが右を向いたから右を向くのではなく、左を向くくらいの考え方は必要であろう。
この考え方は、ある意味で自由奔放であり、失うことを恐れない勇気があるということである。
私は、『失うことを恐れない』の中で、『元々無かったものなのだから、無くなっても慌てる必要はない。そんな気持ちを持つことは、ベンチャー企業には重要なことである。そして、いつまでこの気持ちを持ち続けられるか、持ちつけられている間がベンチャー企業である。この気持ちが無くなったら、もはやベンチャー企業とは言えない。
私は、生涯ベンチャー企業を目指したい。攻めて攻めて、戦って、開拓して、新しいことに挑戦する、これがベンチャー精神である。』と書いた。
攻めて攻めて、戦って、開拓して、新しいことに挑戦するということ、これこそが、龍馬の言う、自分だけの道を歩く英雄ではないか。他人と同じことをせず、他人がしていないことに挑戦することが、ベンチャー精神である。そのためには、失うことを恐れない覚悟が必要なのである。
龍馬は言う。「人の一生というものは、たかだか五十年そこそこである。いったん志を抱けば、この志に向かって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。たとえその目的が成就できなくても、その目的への道中で死ぬべきだ。生死は、自然現象だからこのことを計算に入れてはいけない」と。
そして龍馬は31歳で死んでいった。
私は今、弱気を発せず、死ぬ気で生き抜いているであろうか。成就できなくても、その目的への道中で死ぬ覚悟はあるであろうか。
龍馬は、生前は無名であったこともあって、数々のエピソードは、後世になって作られたものも多いらしい。しかし、死んでから、例え架空なエピソードであったとしても、これほどまでに龍馬が愛されるのは、生前の行動力があったからに違いない。
そんな私も全く無名の経営者である。生前に有名か無名かではなく、人知れず、計り知れないほどの行動力があればこそ、死んでも、エピソードが作られるのであろう。もし、行動力がなければ、架空のエピソードもあるまい。
私は、海援隊の如く、「藩を脱する者、他藩を脱する者、海外に志しある者」という集団を本気で作り上げたいと思っている。それが当面の小さな目標だ。こんな小さな目標なら、本気でやろうと思えば、必ずやできるはずである。
そして、商いの内容は別物である。何を売るか、何を作るかではなく、「藩を脱する者、他藩を脱する者、海外に志しある者」という集団を構築し、何ができるかを常に模索したい。何をもたらすかは二の次だ。
何を売るかではなく、何でも売る覚悟である。世界中、どこにでも、何でも、誰もがやらないようなことに、挑戦し続けたい。海外に志しある者、これがこれからの日本や、わが社で求める人材である。
海外に出ようとする意気込み、これこそが最大の行動力ではないか。だから、日本に来たいという外国人にも大きな舞台を用意したい。
海外に志しある者、これぞ求めず人材だ。
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投稿者 :堀田信弘: 2010年2月12日 05:51