どんなに暑い夏の日でも、これまではエアコンのない生活に耐えられたのに、一旦エアコンのある生活に慣れてしまうと、もうエアコンのない生活に耐えることはできません。
収入が増えると、それに比例して消費も増える人がいます。大半の人はそうかも知れません。贅沢な海外旅行に行ったり、贅沢品を買ったりするほうがまだ救われますが、食費、家賃などの生活費が増えることは問題です。
お金が無くなれば必然的に、贅沢な旅行にも行くことはできず、贅沢品も買うことができなくなります。しかし、生活レベルがあがって、一旦生活費が上がると、それを下げるのは困難になるのです。
「給与が少ない」と言ってくる社員がいます。もちろん、誰だっていまの給与に満足している人など少ないことでしょう。理由を聞いてみると、「生活費が高い」という答えが返ってきます。
同じ年代の社員と比べ、同じような給与であっても、それぞれ生活レベルは異なっています。もちろん、子供がいたり、家族がいる場合には仕方ありませんが、両方とも一人暮らしの場合には、明らかに浪費家のほうはその後の生活もずっと苦しいことでしょう。
これまで何人もそのような社員をみてきましたが、基本的に浪費家は経営者には向いていないです。自分の生活において、消費を抑えることができない、蓄えることができない人が、会社の経営をできるはずがないのです。
会社経営で重要なことは、利益を生み出すことです。利益を生み出すためには、投資もしなければなりません。
一番簡単な経営は、生みだされた利益の一部を投資に回すという考え方です。利益の一部を失っても良い覚悟で、投資すれば、利益は減ったとしても、利益がなくなることはありません。
このような経営者は、実に堅実です。将来を見据え、大きなリスクを背負ってまで、利益を失うほどの投資はしないからです。だから確実に利益を温存することができることでしょう。
その考え方は否定しません。わが社でも、広告費などは、利益が出た時ほど多くの費用をかけ、より利益が生まれるようにしています。
しかし、そもそも投資というのは、広告費のように利益が出たから出すという類のものではないのです。
利益が出たから投資をするのではなく、利益を生むために投資するのです。
本来事業というのは、利益が先ではなく、投資が先なのです。
利益が生み出せるという事業を見出し、それに投資することで、利益を生むことを実現するのです。投資をしなければ利益は生まれないのです。
投資は、支出です。消費です。同じ消費であっても、利益を生むものと生まないものがあります。投資とは利益を生むために行うものではあるのですが、結果として利益が埋めなければ、それは単なる消費です。もっと言えば、浪費です。
つまり、投資に関わらず、会社の経営活動の中で、利益が生み出せないことにお金を支出するということは、浪費なのです。
自分の生活において、消費を抑えることができない、蓄えることができない人が、会社の経営をできるはずがないというのは、浪費するからです。
これまで様々な投資家の人で出会ってきましたが、多くの投資家は、倹約家です。1円にせこく、100万円には大胆なのです。無駄だと思うことには1円すら使いません。
そして、彼らは、お金を生むこと、得ることよりも、お金を使うことのほうが遥かに難しいと言います。
投資家の人は、成功した例の何十倍もの失敗をしています。10件のうち1件しか成功していないというのも普通です。
多くの失敗を経験しているからこそ、投資するには慎重になります。しかし、自分自身で確かめ確実に行けると思ったものには大胆に投資するのです。それでも失敗するほうが多いのですから、お金の使い方が如何に難しいかを痛感しているのです。
しかし、泡銭を手にした人や、急に収入が増えた人などは、お金を得ることの難しさは知っていても、使うことの難しさは知りません。
これまで無かったお金が目の前にあれば、使いたくなるのは性分でしょう。しかし、それでも、生まれ育った環境や生活、性格などで、浪費家になる人と倹約家になる人の二通りに分かれます。
倹約家の人の特徴は、無駄なことをしない、蓄えることを考えるというのが根底にありますから、決して衝動買いをするようなことはないでしょう。
それに対して、浪費家の人の特徴は、簡単に言えば衝動買いをする人です。この一言に尽きるでしょう。
参考までに、消費者カードローンなどを使い過ぎて破産する人の大半は、衝動買いをするタイプだという特徴があるそうです。衝動買いをするということは、自己の欲求を抑えることができないばかりか、深く考えずに浅はかな考えで衝動的に行動してしまうのです。
そのような生活をしていて破産しないはずがありません。アメリカには、カードローンなどで自己破産人向けに、精神科の先生による衝動買いを抑えるプログラムが用意されているそうです。
それは、衝動買いを直さなければ、自己破産しても再び借金を繰り返すことになるからだそうです。しかし、衝動買いは病気ではありませんから、簡単には直りません。買い物をする時に脳内にドーパミンが出て、興奮状態になるのを防がなければならないのです。
この現象が、ギャンブル依存症と同じような症状なのです。
これまで出会った経営者の中には、多くの浪費家の人がいました。銀座で豪遊したり、何度も新しい車を変え変えたり、次々にブランド品のスーツを買ったりと、会社のための投資とは程遠いお金の使い方です。
これで経営が上手くいくはずなどないのです。
ところが、自分で稼いだ分は、何に使おうが自由ではないかと反論する人もいることでしょう。
もちろん、自由です。しかし、それほどまでにお金があるのなら、もっと従業員に還元するとか、さらなる投資にまわすというようなことができないものでしょうか。
社員がせっせと働いて稼いだお金の多くを、社長が浪費しているようは、そこの社員は働く気力も生まれませんね。社長がそれに気づかなかったら、その会社は、間違いなく衰退することでしょう。
人間は、何のために働くのでしょうか。お金のためですか。社長がお金のためだと考えているのであれば、そこの社員もお金のために働いている人が多いのでしょう。
(次回に続く)
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投稿者 :堀田信弘: 2010年5月13日 05:51