私の家内は、学校の教師をしています。普段から「素直な子は伸びる」と口癖のように言っています。
そのことを裏付けるかのように、先日、料理学校の先生をしている人と出会いました。
その人は、「プロが教える本格料理」と題して、専業主婦などを対象に、料理教室を開いています。
ある時、普段から思っていることがあって、それを実証するための実験を行ったそうです。
それは、その先生の話しを素直に聞く人と、そうでない人とのチームに別けて、料理対決を行ったそうです。
素直に話を聞かない人は、いつも先生が指導をしようとすると、「いつもはこのようにやっているのに」と反論をしたり、「そんなこと知っているわ」などと、必ず一言が多い人たちです。
一方、素直に聞く人は、「なるほどこのような方法があるのですね」とか、「さすがプロだわ」などと、いつも先生の説明に頷いている人たちです。
さて、勝負の結果は。勿論、素直に聞く人たちのチームが勝ったことは言うまでもありません。
なぜなら、「プロが作る方法を素直に聞いて、そのまま作ったのですから、プロの味がでるのです」と先生は言っていました。
なるほど、言われてみればそうですね。自分流のやり方をしたり、先生の注意点を聞かなければ、プロの作る味になるはずがありません。
先生は言ったそうです。「皆さんは、学びに来ているのですか。それとも、自分の料理をしたいだけですか」と。
料理は、プロの味でなくても、主婦にもできることです。しかし、普段と同じやり方なら、何も学ぶことなどありません。何かを得ようとして来ているのに、自らそれを拒否して、料理が上手になるはずがないのです。
素直になるということは、重要なことなのですね。素直になれないがために、習得できないばかりか、大きな損をすることもあります。そして、時には、我を通したために、自分の気持ちに反した結果を招くことだってあるかも知れません。
素直になるということは、他人の言いなりになるということではありません。
他人のアドバイスや考えに素直に耳を傾け、良い意見をできるだけ取り入れよう、吸収しようということです。
しかし、素直になるということは、実はそう簡単なことではないのです。素直になれる人のほうが僅かだとも言えるでしょう。
子どもの頃、先生に質問したら「そんなことも判らないのか」と言われたり、親に素直に謝ると、「謝るくらいなら、最初からするな」と叱られたりする経験があると、素直に行動したことで嫌な思いや、辛い思いをしたことがある人はいるでしょう。
素直になろうとしても、このような事象が積み重なると、先生に判らないのに質問できなくなったり、親に「素直に謝れ」と言われても悔しくて謝れなかったりするようになるものです。
やがて自分の気持ちを偽ったり、裏腹の行動を取るようになることでしょう。
このようにして考えると、素直になれない人は、二つのタイプに分類できそうです。
一つは、料理教室で素直でない人のように、自分の形、自分のやり方を崩されたくない人たちです。単純に言うと、他人の考えややり方を受け入れたくない人です。
もう一つは、子供の頃の出来事から、弱い自分を隠そうと、カモフラージュする人たちです。このような人たちは、自分に自信がない人が多いように見受けられます。
この二つの特徴は、一方は強く、一方は弱いほうですから、逆ですが、結果として素直でないことに変わりはありません。
つまり、強い人も弱い人も、素直になれない人がいるということは、前述したように、人間というのは簡単に素直になれるものではいのです。むしろ、素直な人のほうが遥かに少ないのです。
だからこそ、素直な人は伸びるのです。これは、勉強だけでなく、仕事でも、スポーツでも言えることです。
かつて、水泳で活躍した木原光知子さんは、「私が大切にしてきたのは、素直さ、真剣さ、敏感さの3つです。」と言っています。
そして、オリンピックで金メダルを取った北島選手は、まさにこの3つを備えた、天才的な努力家だったそうです。
何を努力したのかと言うと、練習のことは勿論ですが、素直になること、真剣にすること、敏感に感じることに対して努力したのです。
努力ができるということは、勝てるという自分を信じ、そして、それを支えてくれる人のことを信じることができるからこそ、苦しい練習にも耐えられるのでしょう。
素直になるということは、簡単なことではないのですね。
だからこそ、それを身に着けることは、素直でない人よりも成長するのでしょう。
中々素直になれず、ついつい感情的になって、気持ちと裏腹な行動を取ってしまいがちですが、せめて、「ありがとう」と「すみません」ということだけは忘れないようにしたいものです。
「ありがとう」と「すみません」という二つの言葉を発することさえできれば、将来の展望が開けてきます。
明るい未来が自然にやってくるような気持ちになれるでしょう。これが晴れ晴れしいという感情ではないでしょうか。
嫌な上司の話を素直に聞き入れることは簡単にはできるものではないかも知れませんが、「ありがとう」と「すみません」という二つの言葉だけは、どんなに嫌いな人にでも使えるようにしたいものですね。
それが、素直になる一歩のような気がします。
恋愛でも、素直になれず、意地を張ったために気まずくなることがあるはずです。しかし、そのような時は、「ありがとう」と「すみません」を意図的に使ってみたらどうでしょう。
きっと張っていた意地が、すぅーっと緩むような気がするはずです。肩の力が抜けて、これまでよりも、素直に話ができるようになることでしょう。
素直になるということは、自分に正直になるということなのです。
自分に正直になれなければ、他人にも正直になれるはずがないのです。正直になるということは、在りのままの自分を表に出すということです。
在りのままの自分を表に出すということは、素晴らしいことですね。凄いことです。自信の表れです。堂々と正しい道を進んでいる清々しい気分を、胸を張って表現しているかのようです。
そのような正直な生き方ができたら幸せなことでしょう。そうです、幸せになろうと思えば、素直になって、正直なれば良いだけなのです。
これから、成田空港に向かいます。ベトナム・ホーチミンで、多くの素直を見られることを期待しています。そして、その素直を吸収してきたいと思います。
(次回に続く)
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投稿者 :堀田信弘: 2010年7月 6日 05:34