【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


企業経営について  「活・喝・勝」


時間を守ること

ホーチミンは相変わらず暑いですが、東京の夏の蒸し暑さと比べると、むしろ過ごしやすいかも知れません。

ホーチミンの朝は、早いです。早朝4時半を過ぎた頃から少しづつバイクの音が聞こえてきます。窓から外の様子を眺めていると、屋台で調理をするための材料を運んでいるようです。これから沢山の人が、この屋台で朝食を取るのでしょう。

今日もこのバイクの音から一日がスタートします。これから数時間もすれば、街中がバイクに埋め尽くされます。あと何年、ベトナムでは、このバイクの光景は続くのでしょうか。

地下鉄の工事が始まっているようです。やがてベトナム人ビジネスマンが通勤のために地下鉄に乗る日が訪れるのでしょう。とても想像することができませんが、上海がそうであったように、必ずその日がやってくることは間違いないでしょう。そして、バイクはやがて自動車に変わるのでしょう。

私がいるここ中心部は、5時半を過ぎるころから、日本人らしき人がゾロゾロと出て来ます。工場行きの会社のマイクロバスが次第に列を作って行きます。6時を過ぎる頃には、日本人ばかりが目につくようになります。

わが社のホーチミン事業所は、6時55分から始業開始です。これは、日本時間の8時55分始業に合わせているからです。ベトナムの会社では、最も早くから始まるほうではないでしょうか。遠方からの社員は、4時過ぎには起きているそうです。

もし、日本の会社で、6時55分が始業開始だったら、どれほどの人が通勤できるでしょう。そして、4時過ぎに起きられる人はどれほどいることでしょう。

4年ほど前、ここでは遅刻が絶えませんでした。遅刻をするが当たり前の国だと言われていました。遅刻をすることが悪いという認識すらなかったのかも知れません。

警告をしても、「どうせ許してもらえる」と言うような考えもあったようです。そして、なぜ、それほどまでに遅刻に対して厳しくするのかが理解できなかったのでしょう。

しかし、最近は、ほとんど遅刻をする人を見なくなりました。もしかすると、日本の事務所よりも遅刻をする人は、少なくなってきているかも知れません。

これまで30ヶ国近くもの国々に行っていますが、日本ほど時間に正確な国はないことでしょう。何百キロメートルも離れたところからやってくる新幹線が、1分もの遅れもなく確実に到着するのです。

飛行機の機内清掃時間は、日本の航空会社が世界で最も早いそうです。宅急便は、今や時間指定さえできるようになりました。

一方、僅か数分遅れただけで、山手線や中央線のホームでは、人だかりになってしまうことがあります。それほどまでに、時間に正確でないと、大混乱が起きる国なのです。

それに対し、ヨーロッパでもアジアでも、多くの国では、日本よりも時間がゆったりと流れているような感じがします。ここベトナムでバイクの渋滞を見れば、「急いでも仕方ない」という気持ちになるのは自然なことなのかも知れません。

しかし、それでも遅刻が良くないことを伝え続けました。何度も繰り返し、時間を守ることの大切さを言い続けたのです。

なぜ時間を守ることは大切なことなのでしょうか。

それでは日本では大切なことだと思っているのに、なぜ他の国では大切なことではないのでしょうか。時間を守らなくても平気なのでしょうか。

ところで、わが社だけのことではありませんが、これまで出会った多くの人の中で、忙しい人ほど時間を守るという習性があります。このことは、日本だけでなく、アメリカやイギリスのビジネス界でも、優秀な人ほど時間が正確だという考えがあるようです。

余談ですが、世界の企業家を見ると、朝が早いのも特徴です。むしろ、この点は、古くからある日本の社長出勤という考え方は遅れているようです。

アメリカ大統領や中国の国家主席も、朝早くからジョギングなどの軽い運動をしてから仕事に取り掛かっています。世界のリーダーから見れば、夕べ飲み過ぎて、朝が遅い社長などリーダー失格だということなのです。

それはさておき、忙しいからこそ、やることが沢山あるからこそ、時間を大切にして、無い時間を上手に確保して、効率良く時間を使っているのは間違いありません。そして、もう一つ、責任感が強い人ほど時間を守るとも言えることでしょう。

遅刻するかどうかよりも、始業時間よりも早く出勤する人は、総じて責任感が強い人が多いです。職位に比例するかのように、重い責任を担っているという自覚がある人ほど、時間を大切にしているのかも知れません。

ということは、暇の人ほど、時間にルーズだということも言えるのです。時間を持て余しているのですから、考えてみれば当たり前のことかも知れませんね。時間に余裕があり過ぎて、貴重な時間を大切にするという考えが生まれないのでしょう。

このように考えると、日本が特段に時間に厳しいというのではなく、日本は忙しい人が多いということなのです。あるいは、時間に余裕がない生活を強いられているのかも知れませんね。忙しい社会に生きているのでしょう。

同じ日本でも、沖縄は、非常にゆったりとした時間が流れています。初めて沖縄に行くと、時間にルーズな人が多いことを感じるかも知れません。しかし、沖縄では、時間にルーズというのとは少し違うようです。

沖縄には、沖縄時間(ウチナータイム)というのがあります。電車のない沖縄の、時間を気にしない人々の遊び方と、ダラダラとキリのない夜更かし好きから生まれたようです。

だから時間にルーズだとか、時間を守らないという感覚ではなく、たっぷりと時間があるのだから、時間を気にしないといったほうが沖縄時間を理解するには正しいかも知れません。

このことは、多くの沖縄の人は、皆知っています。時間を守らないのではなく、時間を気にしない人が多いから、多少の時間のずれについて、時間が理由で揉めることは少ないのです。「仕方ない」で済まされてしまうのでしょう。

それでも、沖縄の企業で働いている人は、勿論、遅刻はしません。つまり、時間を守らなければならないことは、百も承知なのです。

沖縄の普段の生活では、時間がゆっくり流れていますから、時間を気にしないことが多いから許されてしまうのでしょう。しかし、それでも、守らなくてはいけない場面では守るということは当然知っています。学校に行くのに、遅刻が許されるはずがないのですから。

南国沖縄と同様に、南国ベトナムでも、ベトナム時間があるのかも知れません。ホーチミン都市部よりも、地方に行けば行くほど、時間を気にしないのが習慣なのかも知れません。

それでも、時間を守ることの大切さについて、ベトナムの事務所でも少しづつ理解されてきているように思えます。

(次回に続く)

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投稿者 :堀田信弘: 2010年7月 8日 05:35