【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


リーダーについて  「活・喝・勝」


好き嫌いと不満は別物か

今、エジプトでは、打倒ムバラク政権を叫び、大変な混乱状態になっています。31年もの長期政権に対し、国民の不満が募り、爆発しそうになっているのでしょう。

私がエジプトを訪れたのは、もう20年も前のことです。しかし、その当時から、大統領はムバラク大統領で、既に10年もの長期政権になっていたことを記憶しています。

当時、エジプトの首都カイロを訪れた時の印象は、ラクダとベンツが平行に走っていて、街の中心部のビルの谷間から、ギザのピラミットが見えるという、世界でも最もアンバランスな国だという感じがしました。

また、最も大きいクフ王のピラミットの周りには、貧しそうな子供たちが沢山いて、世界で最も古い紙であるパピルスに描かれた絵を、大きな声で「5枚で千円」と日本語で売っていました。

その絵は、今でも我が家に飾ってありますが、その絵を見る度に、「千円、千円」と言っていた子供たちの貧しそうな様子を思い出します。

私が宿泊したカイロにあるホテルは、5星ホテルの立派なホテルでした。当時、エジプトで最大の御もてなしであり、贅沢なものは、生野菜サラダだそうで、サラダが山積みになっていたのを記憶しています。

しかし、現地のガイドより、「生野菜は、しっかり洗われていないから、手をつけないように」と言われていたため、全く食べませんでした。恐らく、エジプト人は、最高の御もてなしをしているのに、なぜ日本人は食べないのだろうと不思議に思ったはずです。

ホテルは、エジプトの古代を感じさせるような歴史的な建造物のようなイメージでしたが、内装はそれに反して、アメリカやヨーロッパ製の家具などで内装が綺麗に整えられていて、近代的に感じました。

エジプトでは、85%がイスラム教(ほとんどがスンナ派)であり、憲法では国教に指定されています。しかし、先月行ったリビアとは異なり、夜は、クルーザーに乗ってのナイル川クルーズでは、自由に酒を飲んで、踊ってと明るい雰囲気でした。

ナイル川から見るカイロの夜景はとても美しく、その当時は、イスラム教という風習を全く感じることもありませんでした。

ガイドは、発展を続けるカイロについて、「世界で最もベンツが多い街の一つです」と案内していました。

今思うと、20年も前から、貧富の差は大きかったのですね。ラクダとベンツが並んでいるあのアンバランスな姿は、まさに貧富の差を表していたのです。

それから20年、エジプト国民は、耐えに耐え、我慢をしていたことでしょう。しかし、それも終に、耐え切れなくなったのです。

最初の反政府デモは、先月の1月14日に、首都カイロにあるチュニジア大使館の前で発生したと言われています。

1月14日は、私がエジプトの隣国、リビアにいた日です。リビアは、エジプトとチュニジアに挟まれた国ですが、その日、リビアのテレビでは、その隣の国であるチュニジアのデモの様子を盛んに放映していました。

1月14日、23年間もの長期政権を維持してきたベンアリー大統領が、国外に脱出して政権が崩壊したのです。アラブ諸国では、民衆によって長期独裁政権が倒されるというのは極めて珍しいことです。

この事件は、チュニジアを代表する花がジャスミンであることから、彼らは、ジャスミン革命と命名されたのでした。

後から知ったことですが、その頃エジプトは、政府が「チュニジア国民の選択を尊重する」と表明したそうです。

しかし、それを聞いたエジプト国民は、強権的で長期の独裁政権であり、かつ貧富の差が拡大していることも似ていたことから、チュニジア大使館の前で最初のデモが起きたのです。

私は、その頃、チュニジアとエジプトの間にあるリビアで、この件についてリビア人と話をしていました。

彼が言うには、リビア人も同様に、強権的で長期の独裁政権であるカダフィ大佐には不満があるようです。正確に言うと、不満というよりは、嫌いだという言い方でした。

しかし、リビアが、チュニジアやエジプトと異なるのは、カダフィ大佐のことは嫌いでも、不満には至っていないということです。

リビアは、アフリカで最大の石油産油国です。広い国土に600万人ほどの国民しかいません。そのため、国民一人あたりのGDPはアフリカ第一で、とても豊かなのです。

政府は、豊富な石油を売って、その金で、街の近代化を図るだけでなく、共産主義という名の元に、教育費も医療費も、さらには生活費までもが無料なのです。

だからリビアには貧しい国民は一人もいないのです。街中は建築ラッシュで、アフリカのドバイを目指すと意気込んでいました。

そのため、ガダフィ大佐は、世界でも最長の長期政権を維持できているのです。それを可能にしているのでは、チュニジアやエジプトと違って、石油が出て、その金で国民の生活を最低限保障しているからなのです。

どんなに嫌いな大統領でも、生活に困らなければ不満にはならないのでしょう。

このことは企業経営でも同じかも知れません。どんなに優しくて、人が良く、人望があっても社員に給与が払えなければ、社員が会社に残るはずがありません。

またその逆に、どんなにワンマンで、嫌いな社長であっても、毎年のように給与をあげてくれたら、不満にはならないのでしょう。

エジプトやチュニジアの反政府デモを見ていると、なぜ、日本で同じようなことが起きないのか、不思議でなりません。

日本は、最貧国のような絶対貧困の国ではありませんが、相対貧困率は非常に高い国の一つになりました。

国が豊かになればなるほど、さらには競争や、規制が自由化されればされるほど、その差は大きくなるのは必然的です。その最先端を行っているのがアメリカであり、他の国は、アメリカのようになろうとしているのです。

リビアという国を知って、その考え方は、アメリカとは正反対であり、また、世界で唯一と言って良いほど、豊かな共産国家で、かつ独裁政権の許される国なのだと思います。

リビアを見て、エジプトの様子を見ると、独裁者が悪いというのではなく、貧富の差を生んだ政策が悪いのであって、国民の多くは、豊かになれれば不満はないということなのでしょう。

日本は、独裁国家ではなく、国民一人一人が選挙で選択できる民主主義の国です。しかし、その国民が、自分たちが選んだ政府の政策が悪いは、私たち国民の選択が間違っているとも言えるのではないでしょうか。

(次回に続く)

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投稿者 :堀田信弘: 2011年2月 5日 05:05