書物で蒸気船を知っているかもしれないが、日本人には、目で見せなければ近代国家の軍事力を認識できないであろうと、『任務を成功させるためには、最低でも3隻の大型蒸気軍艦で向かう必要がある。』と考えました。
この任務とは、アメリカ大統領から指示された日本開国任務のことです。そして、この任務を受けたのが、マシュー・ペリー提督だったのです。
ペリーは、圧倒的な軍事力と近代力を見せ付けることで、アメリカと直接戦うことなく、日本を開国させようとしたのでした。
それに対し、日本側は、黒船来航、欧米列強の経済的・軍事的進出に対する攘夷運動が起き、その後、江戸幕府は終焉し、大政奉還を受け、王政復古によって明治新政府が誕生します。
言わば、明治維新とは、外的な圧力を受けつつも、直接的な被害や侵略をされることなく、新しい政府、国のあり方を一新したのでした。
日本は、国民の力で、アジアで最初に、西洋的国民国家体制を有する近代国家へと変貌させたのです。
それから、日本は、急速に発展し、アジア全域にその力を広げようとしました。
そして、今度は、鎖国していた日本を開国させたアメリカを相手に戦争するところまでになったのです。
結果は、世界で初めて、原子力爆弾を広島、長崎に落とされ、またしても、江戸時代の幕末の時と同様に、『日本人には、目で見せなければ近代国家の軍事力を認識できないであろう』ということを思い知らされたのでした。
日本は、完全にぶっ壊れました。
焼け野原となりました。
黒船が来て日本は変わり、原爆が落とされて、再び、アジア随一の近代国家に変貌することになって行ったのです。
やがて高度成長期を向かえ、その後、日本は世界第二位というアメリカに次ぐ経済大国にまで上り詰めました。日本が最も輝いていた時代だったかも知れません。
その後、ソビエト連邦が崩壊し、冷静時代が終わると、日本の最大の下請け工場であった中国がじりじりと成長してきました。
また、韓国は、アジアの通貨危機を端に、大企業が次々に倒産して、デフォルト寸前の状況にまで追い込まれ、これによりIMF(国際通貨基金)に介入に至りました。
韓国は、これを機に一気に、サムスンを始め世界全体をマーケットとする世界展開に舵を取り、日本製品は、気がつくといつも韓国の後ろを追いかけるようになってしまいました。
世界でいち早く、携帯電話からインターネット接続ができるようにした日本のiモードでしたが、そのマーケットは日本国内だけでした。
気がつくとガラパゴス現象と言われるほどに、日本は遅れを取り、かつての新商品戦略が機能しなくなってしまったのです。このことは、携帯電話に限らず、かつて世界最速を誇ったスーパーコンピュータも今や十位にも入らなくなってしまいました。
「一位ではなくて、二位ではダメなのですか」と戦後初めて政権交代をなした新政府の大臣がいましたが、「もはや日本が世界から取り残されても良いではないか」ということを容認するような考えでした。
国民自身も、少子高齢化、人口減少など、将来展望が描けない行き詰まりを感じるようになってきました。失われた20年とも言われ、一向に給与は上がらず、景気も回復しません。
ついに昨年、日本は中国に抜かれ、第三位に落ちました。もう数年もすれば、インドにも抜かれ第四位になるのも確実です。
順番が重要だとは言いませんが、明らかに衰退しているのは間違いありません。将来の夢や発展、拡大の希望が見えないから、世界で唯一と言えるほどのデフレ状態から抜け出せないのです。
昨日、イタリアで放送されたローマ法王ベネディクト16世と市民との対話番組で、東日本大震災で被災した7歳の日本の少女の質問が取り上げられました。
少女は「私は今、とても怖いです。大丈夫だと思っていた私の家がとても揺れたり、私と同じ年ぐらいの子供がたくさん死んだり、公園に遊びに行けないからです。なんで子供たちもこんなに悲しいことにならないといけないのですか」と質問しました。
ローマ法王は、「私も同じように『なぜ』と自問しています。答えは見つかりませんが、神はあなたとともにあります。この痛みは無意味ではありません。私たちは苦しんでいる日本の子供たちとともにあります。」と答えたそうです。
ペリー黒船の来航、そして第二次世界大戦、そして、今度は、弱り目に祟り目と言えるほどの、大きな試練を神は、日本に与えたのです。
これまで日本は何度もぶち壊されてきました。もっと厳しい言い方をすれば、ぶち壊されなければ、新しいことが描けない国になってしまったのです。
良い言い方をすれば、スクラップアンドビルドです。一度、ぶち壊さなければ、新しい形は、立てられないのです。
ぶっ壊れてしまったのですから、新しく作れば良いのです。そこには改革も、革命も必要ありません。ぶっ壊れて、さら地になっているのですから、これまでにない、全く新しい発想で、作りたくても作れなかった新しいものを作れば良いのです。
老朽化した建物・設備を一度廃棄や取り壊して、その後最新鋭の技術などを生かした新しい設備などに建替えさせることをスクラップアンドビルドというのです。古いものが残ったままでは、新しいものが作れないのです。
改築や増築ではなく、一旦更地にして、新しい建物を建てること。日本は、明治維新、戦後の発展、そして、今度は震災後の復興を果たす大きなチャンスなのです。震災があったことは悲しいことですが、この出来事を大きなチャンスに活かすのです。
日本は、黒船や、戦争、震災など、外的な力を借りなければ変化できないのかも知れません。
このことは、日本という国の中にある会社でも同じです。私たちの会社も、一度ぶっ壊れる覚悟がなければ、何も変えられないのかも知れません。
ぶっ壊れるということは、スクラップアンドビルドを、半ば強制的に行われることなのです。
(次回に続く)
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投稿者 :堀田信弘: 2011年4月24日 05:44