【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


技術者と営業  「活・喝・勝」


マルチタスクとシングルタスク

人間には、シングルタスク型人間とマルチタスク型人間の二通りのタイプがいる。

一台のコンピュータで同時に複数の処理を並行して行えるOSをマルチタスク型OSと言う。実際には、CPUが一つの場合、 あたかも同時に動いているように見せるため、一つの処理がCPUを占有してしまう時間を極めて短い時間に分割し、 次々に次の処理へ移ることで、利用者はあたかも同時に複数のアプリケーション・ソフトが一台のコンピュータで動いているように見える。

例えば、ワードで文書を作成していても、メールが来れば知らせてくれるし、メールに返信しながら、ワード文書の印刷を行えたり、 しかも、タスクバーにある時計は刻々と正確な時を刻んでいる。これがマルチタスクだ。UNIX,Linux, Windowsなどがその代表である。

これに対し、Windowsの前身であるMS-DOSは、ひとつのアプリケーション・ソフトを起動すると、 その処理が終わるまで他の処理が行えないシングルタスクのOSであった。シングルタスクのOSは、完全にCPUを占有するため、 与えられた処理は圧倒的に早いが、一度実行中になってしまうと、他の処理を依頼できない問題がある。

マルチタスクOSでは、同時に複数の処理を依頼できるが、あまりにも多くの処理を詰め込むと、一つ一つの処理は、 シングルタスクOSで実行した場合より遅くなる。さらに、CPUを細かい単位で処理分割するため、OSが各処理をディスパッチ(振り分け) する仕事量が増え、1時間に占めるアプリケーションが利用できる時間は次第に少なくなる。

つまり、シングルタスクというのは、ひとつのことをじっくりと最後まで集中してやるタイプである。これに対し、 マルチタスクというのは、どんどん割り込みの仕事が起きても、何となく無難にこなすタイプである。

技術者で言えば、プログラマーやデザイナーなどのテクニカルを中心としたデスクワーク型の職業の方は、 シングルタスク型のほうが多いし、そのほうが確実でより集中して取り組むためミスの起こりえる可能性も低い。

一方、システムエンジニアやプロジェクトマネージャなどのマネージメントを中心とした相手がある職業の場合には、 マルチタスク型でないと、日々発生するイレギュレーな出来事やトラブル対応、顧客からの割り込み依頼などに対応できない。

マルチタスク型人間かシングルタスク型人間かは、これまで多くの人と知り合ったが、 自分自身がどちらであるかを理解していない人が実に多いこと。さらに、理解しているいないに関わらず、 今行っている仕事の内容と完全にミスマッチを起こしているケースも多いように見える。

技術者に限って言えば、私の感覚では、本当のマルチタスク型人間は、1割いるかいないかであろう。 本来シングルタスク型人間であるのに、SEやプロジェクトマネージャーをさせられている、または、 経験年数が長いという理由で何となくやっている人が多い。

例えミスマッチであっても、恐らくある程度能力の高い人ならば、3つのプロジェクトの同時処理は何とかこなせるため、 そのミスマッチには気がつかないのかも知れない。

経営者で言えば、100%がマルチタスク型の人間が求められる。好む好まざるに関わらず、財務、人事、経理、営業、法務、 管理などあらゆる経営活動を同時並行に動く処理をコントロールするのが経営者だ。

ところが、私が出合った何千人もの経営者の中で、マルチタスク型人間の割合は、3割程度ではないだろうか。

その証拠に、人は忙しい時ほど、割り込みをされるのが嫌なものだ。

部下が、上司に「忙しいから後にしてくれる」という言葉を聞いたら、その上司はシングルタスク型人間だ。

もし、マルチタスク型人間なら、まず話だけは聞くだろう。要点を聞いて、回答は後に回すなどの対応を取るはず。何故なら、 割り込まれる量は制限したとしても、割り込みを認めないということはあり得ないからだ。

その部下がとても重要な問題を報告しようとしている時であったらどうだろか。上司は、 30分後に訪れる大切なお客さま向けの資料を作成している。上司の頭の中は30分後のことで一杯。 もし部下の報告がそのお客さまに関する重大な情報であったなら、上司はそれを聞かないで30分後を向かえることになる。

どうやらこれは、人の持つ性格であり、個性のようだ。

マルチになろうと思っても一朝一夕には行かない。逆にマルチの人は、ひとつひとつの処理が雑になる欠点を抱えている。 上手くシングルタスクの人に仕事を任せて行かなければ、ミスが多発する可能性がある。

また、シングルタスクの人が懸命にマルチでやろうと思っても仕事が溜まりやすくなり、ボトルネックになる可能性を秘めている。 有能の部下を持って、下に処理を流し、自分が抱え込まないような訓練をしなければ、これを克服することは極めて難しい。

つまり、どちらが良いというのではなく、自分の性格を知り、自分の良さを活かすことが大切ではないだろうか。

時間は誰にでも平等に与えられている。その時間をどのように細分化して使うか、 或いは一つの処理をできるだけ集中して早く終わらしてしまうか、体も頭も一つしかないのだから、工夫をしなければ、 八方塞がりの仕事の山になる。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年2月25日 10:19